人形姫

近くで見てはいけません


「人形姫」。

都会の雑踏から少し離れたところに、そこはあります。
時を駆けたアンティーク家具や、絵画、アクセサリー、
また、ゴシックテイスト溢れる洋服や、フェティッシュな洋服などに囲まれて、
お酒を飲む、隠れ家ちっくなBAR「Brocante」。

一夜限りのファンタスティックライブショー。

(※メイクルーム関係スタッフのみ表記)
製作     StudioSWitch
企画     森田女将
衣装     森田女将
メイク    森田女将
音響     うさぎ(黒)
撮影     にゃん・せりな 
デコ     ひびき(赤)  
Cスタッフ  ひびき(赤)
スタッフ   せりな(メイプル甘ロリ)
       にゃん(黒ゴスHard)
       うさぎ(黒ゴス)     
       めいしゃん(赤チェック)
       あかざ(白ゴス)  

GEUST
ファンタスマゴリア
シモーヌ深雪」


11:30前後・・・起床。食事後に入浴。沐浴を兼ねて体毛処理など。

         (予定よりも一時間は寝過ごした)

13:30前後・・・自宅を発つ。
14:10前後・・・メイクルーム着。ほどなく衣装を渡される。
        すぐにメイク開始。
14:40ごろ・・・完成。白ゴスの役目を仰せつかる。


         (100%中の100%! 頭のてっぺんからつま先までゴスロリ)
         (時間待ち・間食・簡単な手伝い)


16:20前後・・・搬入準備。荷物を外に運び出す。
        にゃんさんがクルマで戻ってくるまで外で荷物を見張る。
        積み込み後、にゃんさんとひびきさんが先行して
        会場へ出発。

         (本当に荷物を見張らされるはめに。
         街角にゴス娘が立っている。
          リハーサルと思い、耐える)


16:50ごろ・・・搬入完了してにゃんさんがクルマが戻ってくる。
        既にメイクが完成しているメンバーを搭載して
        会場に向かう。森田さんは準備完了後、タクシーにて
        会場入り。

        (会場には既に「ファンタスマゴリア」と
         女将の知り合いの女の人が3人)

17:30ごろ・・・交通渋滞のため、到着が遅れる。
        会場では既に「ファンタスマゴリア」のメンバーによる
        音響のセッティング作業中及びステージ衣装の準備。
        森田さんも会場でのメイクを開始。5人待ちの状態。

        スピーカーやケーブルのトラブル発生。
        ファンタスマゴリアのメンバーがスピーカーを買いに
        行くという。

        (音響関係はまったくわからないため、全然手伝えない・・・)
        (やれることがないので、あちこちをウロウロ・・・・)


18:00ごろ・・・1階で料理の配置などの手伝い。

18:30ごろ・・・近くのコンビニまで食料とDVDテープを買出しに行く。

        (買いに行かされる。人形は主の命には従うのみ)

19:00ごろ・・・まだメイクは完了しない。購入したスピーカーが届く。
        2階では慌てて音響のセッティング。
        そろそろリハーサルが開始。
        この頃、シモーヌ深雪さんが到着。

        (ぜんぜんシモーヌさんと気がつかない。
        素顔は吉本の板尾創路に似ているかな?)


20:00前後・・・OPEN。しかしつり銭の不足に気がつく。
        両替を仰せつかる。
        リハーサル続行中。

        (両替敢行を命じられる。コンビニで安いものを
        買ったり、自販機で千円で購入したりして、
        小銭を大量生産。いかにも頭が悪い方法。)

20:30ごろ・・・ボツボツとお客さんが来店される。
  
        (他にすることもないので入り口で出迎えることを思いつく)

        
21:20ごろ・・・予定よりも大幅に遅れてステージ開始。
        2階へ移動。
        ソフトドリンクがなくなったので買い物を仰せつかる。

        (購入後、一区切りつけて、私も観に上がる)

        ファンタスマゴリアのステージ。

        シモーヌ深雪さんのステージ。


         (階段脇で待機姿勢。イスを運んだり、灰皿を
         持っていったり。)


23:00前 ・・・終了。写真撮影会開始。
        

        (女将さんが出てきて、いきなり終了しました宣言は
         お客さんがきょとんとしていた。
         やはり司会進行がいるな・・・。)

        (私はほどなく下に降りて、
         EXITでお帰りのご挨拶。)

        
         
23:30過ぎ・・撤収作業開始。

        シモーヌ深雪さん撤収。ひびきさんとともに
        タクシーまで同道。
        「ファンタスマゴリア」メンバー撤収。        

00:30頃・・・搬出。私とにゃんさんが荷物を積んで
       クルマでメイクルームに帰還。
       

       森田さんとひびきさんは会計と挨拶のため、残留。
       その他のメンバーは二次会で軽く遊びに行く。
       ちなみに会場(BAR)の営業は継続。

01:30前後・・・メイクルームに1人を除いて全員集合。
         この時点で解散。
       

        (残留メンバーとダベる。このときが妙に楽しい)

帰宅は03:30前後。

これにて今宵この夜の「人形姫」も幕となりけり。



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 さて、メイクルーム初の主催イベントということで、
女将の意気込み方もなかなかのものだった。
たしかにグダグダな点も多かった。
音響関係はアンプ自体がなかったそう。
当初は私たちがシャンパンを配り、ステージの時は
(人形として)背景になる予定であったのだが、
予定変更で、無しに。
ファンタスマゴリアに読み上げてもらう文章も
ちょっと練りが足らなかったかもしれない。
進行役がいなかったので、女将が代替で
MCをやったが、お客さんの一瞬「?」な顔が
何を言わんとするか物語っている。
台本や進行具合がぶっつけ本番でありすぎた。

そもそも今回のコンセプト自体も「不明瞭」という
意見を聞いている。たしかにライブであるのだが、
なにかこう、よくわからない(自分で書いていて笑)。
多少なりとも関わっている私でさえ、説明しきれなかった。
「とりあえず、ライブがメインだから」としか。

ただ、女将の多忙さは誰もが分かっていることである。
1人でメイクをし、衣装を考え、あれこやこれ・・・・。
やむを得ないといえばやむを得ない。

もっとも、シモーヌ深雪さんの存在感は圧倒的である。
本当に今回はあの人のおかげであると言い切っても、良い。
ファンタスマゴリア」は何度かライブを見たことがあるのだが
今回は残念ながら100%の力を出し切れなかったと思う。
音響の調整不足やら狭い舞台、急なスケジュールなどなど、
足を引っ張る要員はいくつか考えられる。



 その一方で、私である。
100%のゴスロリスタイルだった。
もっと簡素な服と思っていたら、用意されたそれは
典型的な白ロリだった。えー・・・恥ずかしかったです。
悪くないもんだ。ただ、オトコなので顔の大きさが目立ってしまう。

しかし、こりゃ、女の子なら一度はしてみるべきでしょ。
楽しいですよ、きっと。


演じきれたかどうか、それはお客さんのみが分かることなので、
私は何を言えようか。

やっていたこと。それは基本的に突っ立っていたことだけだ。
入り口で立って、挨拶。ショーの最中も脇で待機姿勢。
基本的に慌てない。急がない。走らない。
表情は笑顔以外はあまり変えない。

これがなかなか難しい。正直、これで2時間立っていろと
言われたらできるだろうか。
ただ「立つ」ということも存外に難しいのだ。
「人形は人間の鏡」であることの第一歩であろう。

ショーも終わり、1階で歓談タイムの時、私は入り口で
突っ立っていた。テーブルで話し込んでいた3人のお客さんの
1人がちらりとこちらを見やる。
「ああ、びっくりした。人形かとおもたぁ」
冗談かもしれないが、嬉しい一言である。

別に私は写真を撮られるとか話しかけられるとか、
そんなことは一切なかったです。
「人形」のように美しくはなく、愛らしくもない。
もちろん楽しくもない。
そういう意味では、唯一な存在(笑)。

人形をやるにあたって「ワタシハウチュウジンダ」的な
くさい芝居をすることに抵抗はあった。ちょっとわざとらしいか
とも考えた。1人で何を張り切っているのかとも思った。
演じ方としてごくシンプルにしたつもりだ。
結果として上品につつましく見えたそうな・・・。
それはもういいんだが、元気に明るくふるまっても
人形のように見せるにはどうしたら良いのか?
という新たな疑問もわいてきた。
シロート芝居なんだがな。


人間と情を交わしたくない、ってのは・・・・・私はわかったのでしょうか?
ある意味において完璧なる存在。群れる必要などない。
情とは人が人と交わるためのもの。
ゆえに人形には不要。
どうなんでしょ。

あれこれ造物主から用事を言い付かったけど、M嬢でもない、
メイドでもない、そんなスタイルが結構面白い。



今回の役作りにあたって、

からくりサーカス」@藤田和日郎
登場する自動人形。特に「最古の四人」のコロンビーヌを
中心に読み解く。振る舞いや言動、立場や心の変化などを
参考にする。単にコロンビーヌに萌えていただけとも。


人形作家:辻村ジュサブロー
作品集と語録を何度も読み返す。
本来的には今回のコンセプトである人形作家「恋月姫」の
方を見るべきであろうが、敢えてジュサブローにした。
こちらの方が好き、というのもある。

泉鏡花については手が回らなくて、
断片的に読むだけしかできなかった。



―誰が作ったのか分からなくて、何処に置いてあっても、
またあってもなくても気にならないような人形。
私はそういう人形を作りたいのです。

ジュサブロー先生、私はそういう人形になれたのでしょうか?