毒蛇、考察(easy)

 私のところには蛇だけではなくカエルやカメ、ヤモリ、トカゲもいる。ハリネズミだっている。一時に比べれば減ったがサカナもいる。それにもかかわらず、蛇だけがクローズアップされてしまう。それだけ「蛇」という存在が大きいということなんだろう。
 日本において蛇信仰というは予想以上に古く、縄文時代からあるそうだ。縄文式土器には蛇をモチーフにしたものがあるという。また、日本最古の神社のひとつ、奈良県・大神(おおみわ)神社の御神体である三輪山の神はしばしば蛇の形で現れるという。それに加えて洋の東西を問わず、神話や伝説には必ず蛇が絡んでいる。そう考えれば、文化的・象徴的生物としては最高位の存在だと思う。とりわけ性と生命、再生の象徴として捉えられている。 それが時代を経て、手足のない異形の姿や生命力の強さ、不可解な生態だけに注目が集まり、不可知なものとして嫌悪するイメージが強くなっていったのだろうか。また、毒を持ち人を死に至らしめる存在であることも大きいだろう。どちらにしてもイメージ先行の生き物であることは間違いない。象徴的文化的生物として、それが裏目に出たのかもしれない。
 そんな蛇である。「どうして飼っているの?」という質問は聞き飽きた。そういえばトランスにしてもフェチにしても説明のつかないものばかりだ。もっとも、私もそうやってネタを小出しにして世間の反応を楽しんでいる点もなきにしもあらずだから、あまり偉そうなことは言えない。
 ただの蛇でこんな有様だ、これがもし「毒蛇」だったらどうなる? ペットとしては最高のクラスだろう。鳥類でいえば猛禽類、特に大型のワシタカ類。哺乳類でいえばやっぱり中大型のネコ科。爬虫類ならばワニや一部のオオトカゲ、大型ニシキヘビ、サカナで言えばピラルクーやチョウザメ、大型ナマズ。大型サメ類飼育(ホオジロやアオザメ等)は未だ前人未到の存在だ。共通しているのは「危険」が伴うということだ。ついでにいうと草食動物だって中大型になれば油断はできない。彼らの歯は繊維を「断ち切る」のに適しているということだし、逃走のためのパワーもすごいものがある。
 ただ、恐ろしく魅力があるのも間違いない。やはり「危険性」に惹かれるのだろうか?危険とはすなわち外界に影響を及ぼす「力」を秘めているということにほかならない。「毒」はまさに「力」である。人を殺すことができる魔力が具現化したと言っていいかもしれない。先述したが、蛇というのはそれだけで既に他の生き物よりも存在感が大きい。そこに「毒」なんてものが加われば・・・想像に難くない。