難儀

 さて、二人が抜けて一ヶ月ほどである。催事も終わったものの、未だに忙しさは変わらず。予定がみっちりとつまっている。主人は預かり商品の整理、若主人は棚卸や商品のちょっとした移動、私は店番や商品移動に精を出している。
 先輩二人のうち一人は完全に抜けたのだが、もう一人はそのような独立ではない。抜けたことは抜けたのだが、自営業という感じではない。デパートの店のひとつを半分任すような形である。といってずっとそこで店番をしているわけではなく、仕入れにいったり顧客のところへいったり外商に随伴したりしている。その間、私が店番に行くわけだが、おかげで自分の仕事がまったくできない。いや、店自体はうちの会社のものであるので、これも仕事のひとつである。ただ、会(オークション)に行ったり、ほかの店舗への商品移動がやりにくくなるので自分として非常に困っている。ケジメとして、あの先輩は店を出た人間である。私は会社の人間である。向こうは向こうの考えがあるし、私は私の思惑がある。同じ会社の先輩後輩ならまだ話はわかるが、そのあたりの機微が非常に複雑だ・・・。この間もめたK先輩とは「同じ会社の先輩後輩」でもう割り切りはできているし、わずかに残った二人である。協力しなければ会社はやっていけない。
 正直なところ、このままズルズルと使われていくのはイヤだ。そのあたりのことは既に若主人や経理のおねいさんにそれとなく言っている。向こうも出たばかりであるし、何よりもあまり前例の無い独立形態である。会社も実働戦力減少につき、非常に各人への負担が大きくなっている。私も独立へ向け、もう少し前線に出てみたい(ある程度のポジションを築きたい)。さまざまな思惑が交錯する中で新たな月へ移行しようとしている。