項羽と劉邦

 たまたま今日の「世界ふしぎ発見!」がそれだった。私は「三国志」よりも「項羽と劉邦」の方が好きである。大学の時に文庫の「史記」も読んだことがあるとはいえ、知識の大半は横山光輝の「項羽と劉邦」「史記」である。あとは台湾の漫画家の描く「春秋英雄伝」であろうか(前に始皇帝の話をモーニングか何かで連載していたと思う)。

 こういう二項対立パターンだと、大抵どちらかを贔屓してしまうもの。平家と源氏だと平家。日独と米英だと日独。連邦とジオンだと圧倒的にジーク・ジオン。でも、私は項羽も好きだし、劉邦も好きである。楚の将軍の家柄で、武芸においては圧倒的な強さを誇る。鷹揚なところがあると思えば意外と小心で優柔不断なところもある項羽。栄枯盛衰の真っ只中に身を投じ、最終決戦のドラマティックな場面はたまらないものがある。その一方、元・地方のヤクザの親分で、面倒見のよさと素直さ(考えるのが面倒くさかっただけ?)で人材を集め、名将・韓信に「あなたは将の将だ」とまで言わしめた劉邦。自ら指揮した戦は負けばかり。皆の支えで中原を統一後は打って変わってブレーンを粛清の嵐。

 こう考えるとどちらも実に味わい深い。当時、世界の最先端のひとつであった中国という途方も無く広大な領土をめぐってたった二人の人間が対立する「漢楚の戦い」はあまりにもスケールがデカく、また、それに相応しい魅力あるオトコたちである。