因果律

 恐れていたことがついに現実となった。後輩の登場である。単刀直入にいえば、将来コイツと何か揉め事が生じることや立場をないがしろにされることを恐れている。私もかつてひとりの先輩を思いっきりないがしろにしたことがあるからだ。歴史は繰り返すという。先輩にされてイヤだったことは知らず知らずに後輩にしてしまうという。これがいかにプレッシャーであるか。因果律の発生。目の前に因果が立っているようなものだ。
 後輩は女の子である。中部地方から単身、大阪に越して来た。ある画家の孫だという。こいつが将来的に私に災いをもたらすかと思うとぞっとする。とはいえ、それなりに育てておかないと私が店を出ることもできない。もっとも、私にはそこまでの知識や実力があるものかどうかも怪しい。既に業界に2年とはいえ、他の人の2年と比べるとはるかに拙い。たとえば、未だに六古窯の区別がつかないし、伊万里の時代区分もあいまいだ。焼き物に興味があってこの業界に入ってきたという。既にモチベーション自体が私とは違いすぎる。私の店でのポジションも危うい。
 ふん・・・K先輩には悪いことをしたな・・・。今になって悔やまれる。こんどは私がその立場になるかもしれんのに。悲劇は繰り返されるのか?!