気力体力ともに低下

 休日である。15日ぶりくらいかな。昨晩はどこにも出ず、逆に早く寝てしまったくらいだ。今日も起きたのは昼過ぎ。ダラダラとしている。天気もいいし、どこかへ出かければいいのに、出ない。出たくないのか出られないのか、自分でもわからない。久々にしっかりおめかしして出かけたい。買い物もしたい。ぶらぶらしたい。そう思う反面、家で徹底的にだらけて過ごしたいと思う気持ちも強い。まさに葛藤である。
 外出するに当たって、用意が面倒なこともある。昨日はすぐに寝てしまったから体毛の処理をしていないからしないといけない。服も何を着ていくか考えていない。荷物をまとめなければいけない。クルマか自転車でいかねばならない。外出したら孤独と戦わなければならない。あ〜面倒くさい。でも、ほかに出られる時はないしな・・・。
 逡巡に逡巡を重ねて、決断したのが午後3時。やっぱり出ましょ!
行き先は?  ミナミのアメ村 BAR@BABYRON。そこから十三のBARへ久々に顔を出しに行く。これならそう遅くなることもあるまい。さ、出かけましょ。
 
 家を出たのは6時を過ぎていた・・・。メイクルームに着いてからがまたダラダラ。出かける気があるのかないのか。メイクを失敗してしまう怖さがある。失敗に気がつかずに外へ出てしまう怖れがある。女装して外出する恥ずかしさがある。ここでもまだ迷うか・・・と。

 メイク開始。今回は薄化粧を心がける。崩れを防ぐ下地やらリキッドファンでやら、厚く重ねてしまうと結局崩れてしまう。なぜなら厚塗りだと毛穴を完全に塞いでしまうから。そうなると余計に力んで?毛穴を開いて汗を出そうとするのが人体の常。崩れる元となる。
はたしてメイクも完了。服装も今風にしたつもりだ。シースルーの4つポケットのジャケット。しっとりしたピンクのキャミソール。肩紐は平べったいタイプ。デニムミニは裾がほつれた感じのもの。意気があがったつもりだったが、メイクルームの玄関で座り込んでしまう。

( ・_・)<「やっぱりミナミに行くの、やめようかなぁ」
地下鉄で好奇の目に晒されるのに耐えられるかな。もし変な人が近づいてきたらどうしよう・・・。


そこへ突然ドアがガチャリと開いた。知り合いの帰還だった。目が合うなり「今日はカッコいいね〜」と。

「え?」

あきれるほど単純なものである。勢いづいて外出してしまった。そりゃもう、ヒールの音も高らかに、日頃鍛えた背筋を伸ばして颯爽と歩いた(つもり)。

 地下鉄で心斎橋へ。金曜日だけあってさすがに人が多い。会社帰りのサラリーマンも多数である。あ〜もう、歩きにくい。私の悪い癖で、女の子モードでも普段の速度で歩こうとしてしまう。だから目立つし足に負担はかかるし、おまけに前が遅いとイライラしてしまう。
「なんでコイツラちんたら歩きやがるんじゃ?!」と。
さて、アメ村のBABYRON。すでに3,4人の客がいた。どうやらそのうちの2人はピアスの施術をしてもらいにきたようだ。マスターは私のことを覚えてくれていた。
「変わった生き物飼ってはる人でしょ? 覚えてますよ〜」と
相変わらずすげぇ恰好ながら好感度抜群でしゃべってくれる。このギャップが堪りません。
「なんか、珍しい生き物をよく死なせてしまうとか・・・聞きましたよ?」
ここに来る客で、私がよく買う(買わされる?)爬虫類のショップに行く人がいるらしい。ソースはそのあたりのようだ。あの店主め、いらんことを。

 ほどなくピアスの施術が始まった。女の子2人はそれぞれ舌と下唇に穴を開けてもらっていた。表情は変えなかったが、それなりに痛いらしい。店内のモニターには外国のピアッシングの教本ビデオみたいなのが流れていた。見ていたら「うは〜(痛)」って感じ。

 そしてもう一軒のBAR。こちらはキタ方面のため、BABYRONではそこそこの滞在しかできなかった。かなり久々である。いきなり1ショット¥1500のスコッチを勧められる。で、また飲んでしまう私。かなりキましたね、これは。ボウモアの、かなり限定モノらしい。思わずむせるほど。もちろんストレート。2杯目は電気ブラン。実は飲むのは初めて。混成酒ということだそう。で、なんか妙に量が多い。しかも度数も高い。やばいかも・・・。3杯目は007を気取ってウォッカベースのマティーニ。正直なところ、口に合うんだか合わないんだか。どちらにしろ、ちょっとやばい。この時点で0時を過ぎていたので、早々に退散する。早くメイクルームに戻らねば。

 時間が経つにつれてだんだんと辛くなってきた。キタ! 完全に回ってる。これは明日がヤヴァイなぁ・・・と思いつつ帰り支度。整ったところで、たまらずその場で仮眠。起きたのは5時過ぎ。しかも雨が降っている。体調も悪い。ほうほうの体で自転車にまたがり、必死で漕いで帰宅。もうダメ。相当キテます。