後輩指導2

 店舗への搬入のために車に商品を搭載し、若主人とともに出発する。もちろん車内では反省会である。むろん、望むところである。私の負担を吐露したくもあったし・・・。

 まずは「余裕」がないのが見え見え。たしかにそのとおり。いつかは余裕の無さがバレテしまう。意識しすぎとも言えるだろう。それが無駄な「緊張」を呼び、不自然な「言動」になってしまう。なおかつ「余計な一言が多い」。そもそも頼んだ用事の3/10もできれば上等としなければいけないところなのに、あれこれ注文をつけすぎて、かつ心配しすぎる。もっと端的に、あっさりと用事を言いつけるべきなのだ。こういう点も余裕が無いことの表れだという。若主人は後輩を、気がつくのも早く勘も鋭い。そして「はっきりと意見を言う」性格であると分析。このままではどちらかがキレるかキレられるか、悲劇にしかならんという・・・・・。まさに因果の流れの真っ只中であることを宣告されたようなものだ。

 対策として「妙に先輩ぶらない」「余計な心配と一言を発しない」「余裕を持つ」「変なところで気を遣わない」という点を実行することにした。

 歴史は繰り返す。楯突いて、楯突かれ・・・上の二人の先輩もそういうところがあったらしい。今度は私の身に降りかかってきている。本音をいえば、この原因を抹殺してやりたいくらいだ。

 そういえば読んだことがある。「ブッダ」(著・手塚治虫)で、ある国の王様が生まれてくる子に殺されると予言されたのだ。その王様は子供からの災難に対して思い悩む。時には思い余って首を絞めて殺そうとしたり、事故に巻き込まれた時も助けにいかなかったりした。ブッダ(この王様とは知己)に相談し、改めようとするのだが、結局、王子を幽閉してしまうのだ。後に幽閉を解かれた王子は策略を持って新たな王に即位し、逆に父王を塔に閉じ込めてしまう。その死の間際、ブッダに「私があの子を遠ざけたのが間違いだった」と言い、死んでしまう。

 ・・・今となってみれば非常に身にしみる話である。

車内で締めくくられた言葉。
「いてもしんどい いなくてもしんどい。それが先輩後輩」
という言葉も付け加えておく。